日時:11月1日(金)
会場:丸の内TOEI 祭壇者:山田孝之、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、ゆりやんレトリィバァ、野村周平、玉木宏、阿部サダヲ、白石和彌監督
『十一人の賊軍』の初日舞台挨拶が11月1日(金)に丸の内TOEIで行われ、山田孝之、仲野太賀、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、ゆりやんレトリィバァ、野村周平、玉木宏、阿部サダヲ、白石和彌監督が登壇した。
1964年に脚本家・笠原和夫が執筆したプロットが、60年の時を経て映画化されます。笠原は「日本侠客伝」シリーズ(1964~)や「仁義なき戦い」シリーズ(1973~)などの作品を手掛け、東映黄金期の礎を築いた人物です。本作は、明治維新期に起きた戊辰戦争の中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)での奥羽越列藩同盟軍への裏切り、すなわち旧幕府軍への背反という歴史的事件を基にしています。物語は、捕らえられていた11人の罪人たちが「決死隊」として砦を守る任を与えられ、戦場で命懸けの戦いに挑む姿を描きます。
この幻のプロットを、企画・プロデュースの紀伊宗之氏、白石和彌監督、脚本の池上純哉氏ら、平成ヤクザ映画『孤狼の血』の制作チームが引き継ぎ、令和に新たな集団抗争劇として再構築しました。主演には、日本映画界を代表する実力派俳優の山田孝之と仲野太賀が起用され、死と隣り合わせの戦場を駆け抜けます。登場人物たちの思惑が錯綜し、裏切りと葛藤が交錯する緊迫した物語が展開され、運命と対峙する激しい戦いが日本人の反骨精神に火を灯します。
山田は公開初日を迎え、「スタッフもキャストも過酷な日々を過ごしてきたが、作品として完成し、多くの方に見ていただけてうれしい」と述べ、喜びを表しました。また、本作でのキャラクターについて「立場が異なるキャラクターがそれぞれに守るべき正義を貫いて戦っており、時代を超えて変わらないものがあると感じた」と語りました。
撮影を振り返った仲野は「撮影していた日々が昨日のことのように思い出される」とし、「体力勝負の作品をスタッフとキャスト一丸となって作り上げ、公開に至ってホッとしている」と安堵の表情を浮かべました。仲野はまた、本作で初めて本格的な殺陣に挑戦したことにも触れ、「クランクイン前からアクション部と練習していたが、実際にやってみると予想以上に厳しいものだった」と語りました。
鞘師はキャスト陣の和気あいあいとした雰囲気の中で、「人見知りな部分があるため、当初は少し距離を置いていましたが、みなさんが『大丈夫?』と声をかけて輪に入れてくれた」と語りました。また、楽しそうなキャストたちの様子を見て「わちゃわちゃ、ガハガハしている瞬間は“賊だ”と思いました」と笑いを誘い、この日も「みなさん仲が良く、登壇直前までおしゃべりしていました」と笑顔を見せました。MCから「思い出に残っている言葉」を尋ねられると、少し考えた末に「みなさんが声をかけてくださいました」と答え、場を和ませました。
また、撮影では遠方への移動で、一ノ瀬は「天音さんと一緒に都内からバスで現場に向かう予定だったが、集合時間より少し前に行くとバスがいなかった」と語り、「2人で都内に置いていかれました」とハプニングを振り返りました。最終的には別の部署のスタッフと同乗して現場に到着したものの、「こんなことがあるのか」と驚いた様子を見せました。
舞台挨拶には、賊軍だけではなく、官軍から玉木宏、新発田藩から阿部サダヲと野村周平、監督を務めた白石和彌も合流した。
千葉県鋸南町に作られた砦のセットの撮影現場付近に、山田が借りた家があり、そこにはキャストたちが頻繁に出入りしていたとのことです。その中でも特に野村がよく訪れていたとの報告がありました。山田と野村はそこで意気投合し、「一緒に釣りに行った」「スーパーに買い物に行った」「調味料を選んだ」などと、二人で過ごした思い出を話していたようです。
仲野は、日を追うごとに二人が「まるで二人だけの家で生活しているよう」な様子に変わっていったと感じたと述べています。山田は「見つけたって思った」と話し、野村もそれを特に否定せず、「出会っちゃった感がありましたよね」と同意していた様子でした。
会場には、町娘役と演じたゆりやんレトリィバァもで登場し、「焙烙玉」と称したボールを配り、キャストたちはそのボールを客席に投げ込みました。このサプライズに観客からは大きな歓声が上がりました。
最後に、仲野が代表して挨拶を行い、「ようやく公開を迎えられ、嬉しく思っています。この物語は、斬り合いや殺し合いの中で、必死に生き抜こうとする人々の姿と死に様を描いた作品です。ぜひ大きな劇場で観ていただけたらと思います。監督が私たちの努力を素晴らしい形で映画にしてくださったので、多くの方に観ていただけると嬉しいです」と語りました。
山田は、敵役である溝口を演じた阿部について「実際の阿部さんはひどい方なんですけど(笑)」と冗談交じりに語りながらも、溝口という役柄について「周りから何を言われようと藩を守るという信念を持っているので、裏切りのように見えるが、実は良い人なんです」と解説しました。
さらに、山田は「官軍、新政府軍、旧幕府軍、十一人の賊軍、それぞれが自分の正義を信じて行動している。視点によっては悪人や裏切り者に見えるかもしれないが、彼らはただ信念を貫いているだけ」と語り、作品のテーマについて触れました。そして「現代の私たちも相手の立場に立って考えることで、少し優しく穏やかに生きられるのではないか」と述べ、この作品を通じて感じてほしい思いを語り、舞台挨拶を締めくくりました。
出演:
山田孝之 仲野太賀
尾上右近 鞘師里保 佐久本宝 千原せいじ 岡山天音 松浦祐也 一ノ瀬颯 小柳亮太 本山力
野村周平 田中俊介 松尾諭 音尾琢真 / 柴崎楓雅 佐藤五郎 吉沢悠 / 駿河太郎 松角洋平
浅香航大 佐野和真 安藤ヒロキオ 佐野岳 ナダル / 木竜麻生 長井恵里 西田尚美
玉木宏 / 阿部サダヲ
スタッフ:
監督:白石和彌
原案:笠原和夫 脚本:池上純哉 音楽:松隈ケンタ
企画・プロデュース:紀伊宗之 プロデューサー:髙橋大典
ラインプロデューサー:鈴木嘉弘 キャスティングプロデューサー:田端利江 音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:池田直矢 照明:舘野秀樹 録音:浦田和治 音響効果:柴﨑憲治 編集:加藤ひとみ
美術:沖原正純 装飾:郷原慶太
小道具:松永一太 衣裳:大塚満 メイク床山:山下みどり 特殊メイク:中田彰輝
アクションコーディネーター:吉田浩之 操演:宇田川幸夫 ガンエフェクト:早川光
シニアVFXスーパーバイザー:尾上克郎 特撮/VFXスーパーバイザー:神谷誠
監督補:松尾浩道 助監督:藤江儀全 制作担当:松村隆司
制作プロダクション:ドラゴンフライエンタテインメント
配給:東映