映画上映後の劇場に、それぞれのキャラクターを彷彿とさせる衣装で登壇した五藤希愛、青木崇高、市川実和子、そして久野遥子監督と山下敦弘監督。温かい拍手に包まれるなか、舞台挨拶がスタートしました。
2022年の夏に撮影された本作。いよいよ公開を迎えた今の気持ちについて、青木は「ロトスコープでアニメ化された作品ですが、僕は本当にこのままの役でした。最終的にアニメになるのですが、それでもちゃんと衣装あわせをして。最初、森山未來くんの出立ちを見た時に、黄色っぽいTシャツと短パンに猫耳をつけていて、”ふざけてるのかな?”と思ったのですが(笑)、汗だくで一生懸命演じていたと後で知りました」と化け猫役になりきった姿で演技をする森山とのエピソードを語り、
続けて市川は「自分がアニメになっていることが本当に不思議な感じです。自分が観て”うわぁ”って心の底から驚いた作品を皆さんに観ていただけてとても嬉しいです」、五藤は「当時はこんな大きなスクリーンの前に立たせていただけるなんて思ってもみなかったです。今、すごく幸せです!」とそれぞれに公開初日を迎えた喜びの想いを口にします。
8年前から企画が立ち上がった本作が、公開までの長い道のりを経て、カンヌやアヌシーなど世界の映画祭でも上映されるまでに。久野監督は「軽いノリで”やりたい!”と思ってやってみたら、こんなことになっちゃって、すごく嬉しいやら緊張するやら」と喜びと戸惑いの思いを明かし、
山下監督は「8年のなかで、短編だったりパイロット版を久野さんと作ったりで僕はなんとなくロトスコープのアニメの感覚を掴ませてもらっていました。ただ、(キャスト陣のアニメへの驚きの反応を受けて)俳優部の方達へはあまりちゃんと説明できていなかったんだなと反省しています」(笑)と語ると、それを受けて青木は「出来上がったものを見て、初めて”すごい!こういう感じなんだ!?”となりました」と驚きの思いを口にします。
劇中の印象的なシーンに話が及ぶと、市川は地獄のシーンを挙げ、「妖怪や鬼達が、カラータイツを着たり腰蓑をつけたりと学芸会みたいな格好で演じていて、それがすごく可愛くて、いい現場だなと思っていました。それがあんな素敵な映像になっているなんて・・・」とロトスコープならではのシュールな撮影現場を回想し笑い、山下監督は「大の大人が汗だくでレオタードきて、神社の境内で一生懸命芝居して、現場の熱量は凄かったです!」と熱い撮影現場の雰囲気をアピール。
実際にどのようにロトスコープでアニメを作ったのか、実写とアニメの比較映像を上映すると、そのあまりの映像のシンクロに会場からは笑いの声が。青木は「自分の芝居の癖がアニメでも見えてきて、”この動き知ってる!”ってなりました。本当に不思議な感覚で」と照れた様子を見せると、「(キャストの)お顔もそのままキャラクターデザインにしたので、本当に似ていると思います」と久野監督はその出来栄えに自信を覗かせます。
そしてここで嬉しいお知らせが!カンヌ国際映画祭「監督週間」、アヌシー国際アニメーション映画祭での上映に続き、本作が第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭に選出されたことが告げられると、会場からは拍手が。山下監督は「海外の人もすごく喜んでくれる映画になりました。世界を股にかけるすごい猫ですね」とコメント。
続けて、パペットのあんずちゃん人形が登場するとともに、本日舞台挨拶に来られなかった主人公の化け猫・あんずちゃんを演じた森山未來からビデオメッセージが。「アニメーション作品ですが、役者さんの動きだったり、山下さんの実写の撮影・ディレクションによって、様々な才能やクリエイターが集まって生まれたこの作品。ほんわかしてますけど、実は色々やってます!本当に僕も魅力的な作品だと思ってますので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。老若男女(ニャンにょ)観ていただけたらいいなと思います」と初日を迎えた想いを会場に贈ります。
イベントの最後の挨拶では、市川は「今日は初日に観てくださったみなさんとこの時間を共有できることができて本当に幸せです」と感無量の様子。青木は「台本を読んだ時は、こういう作品を子供のときに観たかったなと思っていました。それが、完成した作品を大人になった今観て、全然そんなこと(子供向けの映画ということでは)なくて、子供のときのいろんなことも思い出しましたし、親としての感情や、いろんなものが織り混ざってきて、本当に素敵な作品に参加させていただいたと思います」喜びの想いを改めて語ります。また、五藤が「みなさんにこうしてこの映画をお披露目することができて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです!この作品は、あんずちゃんに癒されるし、とても素敵な感動する映画になっていると思います。ぜひぜひ周りの人にも勧めていただいて、何度でも劇場に足を運んで観ていただけると嬉しいです」と100点満点の挨拶をし、笑顔をのぞかせました。
山下監督は「8年という時間をかけて作って、今日やっと公開で、嬉しいんですけど、少し寂しいというか。すごく時間はかかったのですが、フランス、日本と本当にすごいいろんな人たちが集まってすごくいいものができたなと思っています」、久野監督は「撮影したものを、一瞬一瞬の絵をずっと見ながら毎日仕事をしていたので、すごく贅沢な時間をあんずちゃんで貰っていたなと思います。これがみなさんの手に渡り、“あんずちゃんが在る世界”になったというのがすごく感慨深いです」と共に公開初日を迎えた感動の想いを述べ、舞台挨拶は幕を閉じました。
映画『化け猫あんずちゃん』<特別映像オープニング編>【2024年7月19日公開】
https://youtu.be/0BbZHJ_tyJs?si=hkBH18C8o4cN44HO
監督:久野遥子・山下敦弘
原作:いましろたかし『化け猫あんずちゃん』(講談社 KCデラックス 刊)
キャスト(声・動き):森山未來 五藤希愛
青木崇高 市川実和子 鈴木慶一 水澤紳吾 吉岡睦雄 澤部 渡 宇野祥平
制作プロダクション:シンエイ動画×Miyu Productions
脚本:いまおかしんじ 音楽:鈴木慶一 編集:小島俊彦
キャラクターデザイン:久野遥子 作画監督:石舘波子 中内友紀恵
美術監督& 色彩設計:Julien De Man コンポジット開発:Guillaume Cassuto
撮影監督:牧野真人 CG監督:飯塚智香 音響監督:滝野ますみ
実写撮影協力:マッチポイント
撮影:池内義浩 録音:弥栄裕樹 スタイリスト:伊賀大介
主題歌:「またたび」佐藤千亜妃(A.S.A.B)
プロデューサー:近藤慶一 Emmanuel-Alain Raynal Pierre Baussaron 根岸洋之
製作:化け猫あんずちゃん製作委員会
配給:TOHO NEXT
公式サイト:
https://ghostcat-anzu.jp