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『化け猫あんずちゃん』カンヌ国際映画祭「監督週間」で上映!久野遥⼦監督&⼭下敦弘監督が登壇した舞台挨拶

日仏共同制作アニメーション映画『化け猫あんずちゃん』 カンヌ国際映画祭で公式上映

左から山下敦弘監督、主人公のあんずちゃん、久野遥子監督(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

第77回カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出された映画『化け猫あんずちゃん』が現地時間5月21日(火)に公式上映が実施された。

カンヌ国際映画祭に併設されている部門である「監督週間」は、作家性を重視した作品が選出され、世界で活躍する映画監督の登竜門として知られる非常に注目度の高い部門。過去にはソフィア・コッポラ、スパイク・リーやアキ・カウリスマキ、日本人では大島渚、北野武、西川美和らが選出されており、日本の長編アニメーション作品としては高畑勲『かぐや姫の物語』、細田守『未来のミライ』に続く6年ぶりの選出で、久野監督・山下監督ともに本作で初のカンヌとなりました。

本日は監督週間のメイン会場であるクロワゼット劇場で2回の上映が行われました。
8:45から行われた1回目の上映会は、約800席が満席に。世界中のプレスや映画ファンが訪れ、注目度の高さが伺える盛り上がり。あんずがバイクでやってくる登場シーンでは場内が笑いに包まれました。登壇を前に久野遥子監督は「日本でもまだお客様には観てもらってないのでどんなリアクションがあるかワクワクしています。」とコメント。山下敦弘監督は「とにかく楽しみ。どんな質問がくるか緊張もしますが難しい映画でもないので(笑)楽しんでもらえていたらいいなと思います」と感想を語りました。

上映後に大きな拍手の中監督が登壇。俳優による実写からアニメーションを作り出す手法はとても新鮮だったようで司会者からのあんず役・キャスティングについて質問に、山下監督は「森山未來さんは俳優であり、ダンサーでもあるので、身体能力も高い。あんずは、おっさんのダラダラした面もあるが、時に猫らしい動きも表現したくて依頼しました。」とキャスティングについて明かしました。
あんずの魅力について聞かれた久野監督は、本作の創作のタイミングで自身も猫を飼い始めたといい、「猫を見ていると人間が気にしてしまうことに対しては雑だったり、それでも必要な時にそばにいてくれることがある。あんずにもそんな魅力があると思います。」と語りました。また客席からは、豊かな色彩について、原作がそもそも色彩豊かな作品なのかという質問が。それに対し久野監督は、「原作はモノクロ漫画な為、映画の色味は美術監督と色彩設計を担当されたジュリアンさんのアイディアから出た色味で、日本の風景を鮮やかに表現してくれました。」と答え、日仏合作で作られた本作ならではの表現について観客も興味深く聞き入る様子がみられました。
舞台挨拶終了後には両監督が沢山のファンに囲まれ、サインにこたえていました。

1回目の舞台挨拶を終え、久野監督は「皆さん熱心に質問してくださったり、とても嬉しかったです。カンヌですがアニメーションに興味がある方も多いのかなと思いました。次の回はお客さんと一緒に観るのでとても楽しみです!(※14:45からの上映では舞台挨拶後に観客と一緒に監督も映画を観る予定)」と感想をのべました。
また山下監督は「みんな真面目に観てくれていて嬉しかったですね。」と語り、またカンヌ初参加について「僕は昔「山田孝之のカンヌ映画祭」というドラマを作っていた身としては、本当は来ちゃいけないんじゃないかと思ったんですけど(笑)。 みんなが憧れるとか、参加した人が興奮したと言うことがよくわかる気がしました。」と、カンヌ初参加について感想を述べました。

14:45開始の2回目の上映には、カンヌ国際映画祭「監督週間」にとっても初の試みとしてカンヌの地元の小学生180人を招待。満席で賑わう場内に呼び込まれると会場は大喝采!山下監督、久野監督どちらも「ボンジュール!」と仏語であいさつし、山下監督「呼んでもらえたことに本当に感謝しています。 僕らも一緒に見るので一緒に楽しみましょう。 」、久野監督「日本ではまだ大人の方にしか見てもらっていないので、お子さんたちのリアクションがすごく楽しみです。一緒に楽しみましょう。」と挨拶すると会場はさらに大きな歓声と拍手で応えます。
上映が始まると、あんずの登場にはまたもや場内は笑い声につつまれ、あんずの行動に、そしてカエルちゃんや貧乏神といった個性豊かなキャラクターの登場には沢山の子供達が大ウケ。大人からも時に子供とは違うポイントで笑い声が沸き起こっていました。

そしてエンドロールが始まると場内はわれんばかりの拍手喝采!4分に及ぶスタンディングオベーションが巻き起こり、監督たちはあんずのぬいぐるみと立ち上がると感激の面持ちで場内全体に手を振り返して、声援にこたえていました。

上映後の囲み取材では観客と一緒に観た感想を聞かれると、久野監督は「お客さんと観ること自体が初めてだったので、映画も初めて観るもののようで染み入りました。」、山下監督は「ちょっと緊張しました。ドキドキしながら見たんですけど、途中からは自分も客になって感動してました。よかったです。」と感想を述べました。
また「カンヌでの上映で得た、今後の活動に持ち帰るものは?」という質問に山下監督は「今年48歳なので、これを20代でくらったら人生狂うかもなという感覚ですが、今は数日したら普通の淡々とした日々に戻るだろうなと思いつつ、でもまたカンヌで上映できたらという可能性がお互いにあるので、これからの決心が変わっていくかなと思います。」と回答。久野監督は「私にとっては長編初作品だったので、本当にくらってしまったような気持ちがあります。これはある種ラッキーだと思って、もしこのラッキーが、この景色がまた見れたら嬉しいと思うので、これを糧に頑張りたい」と話し、両監督ともにこのカンヌでの出来事が今後の創作に向けても刺激となった様子。

映画を観た観客たちは「とても楽しかったです!世界に向けて心を開かせてくれる作品だと思いました。」(フランス人・20代男性)
「美しくて心温まる作品でした。カラフルな映像と人間性豊かなドラマが素晴らしく、とても大きなテーマを描いた作品だと思いました。」(ロシア人・20代男性)
「美しくて、レトロな雰囲気もある作品でした。現代のアニメとは一線を画しており、古い映画のような精神性も感じました。猫の動きなどディテールが素晴らしかったです!とても良い時間を過ごせました。ものすごく素晴らしかったです!」(オランダ人・30代女性)
「とても感動しました!子どもと一緒にみた「となりのトトロ」のような日本のアニメーションの伝統を継承して、ファンタスティックな世界を作り上げていました。」(フランス人・40代女性)
「色彩のクオリティが高く、デッサンも丁寧でとても良かった。日本のアニメの伝統的なテクニックとオリジナリティが共存していて素晴らしかったです。」(フランス人・40代男性)

と興奮冷めやらぬ様子で絶賛の声が続々と!

大盛り上がりとなった『化け猫あんずちゃん』のカンヌでの公式上映。本作は世界最大規模のアニメーション映画祭であるアヌシー国際映画祭2024のコンペティション部門にもノミネートされており6月に久野監督・山下監督が現地を訪れる予定。
世界を奔走する”化け猫“の活躍に注目するとともに、7月19日(金)からの日本公開をご期待ください。

■山下監督「野外上映に向いていそう」日本での上映にも意欲

映画上映後の会場(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会
映画上映後の会場(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

また、今回はカンヌ国際映画祭『監督週間』にとっても初の試みとなるカンヌの地元の小学生180人を招待しての上映(配給会社発表)となりました。

間近で子どもの反応を見て山下監督は「日本ではこういう機会はないと思うので、すごくリアクションがあったのでうれしかったです」とコメント。記者からの”日本でも、もし機会があれば”と言う言葉にも「なんとなく野外上映に向いていそうな気がするので、日本でもこういう機会をどこかで作れたら」と意欲的な姿勢を見せ、久野監督も共感していました。

■久野監督「本当にくらってしまったな」 カンヌでの上映に圧倒

最後に、カンヌでの上映で得たものを聞かれると、山下監督は「今年48歳なので、もし20代で経験したら人生狂うかもなっていう感覚なんですけど。今なら数日すれば普通の淡々とした日々に変わるだろうなって。でも、またカンヌで上映できたらなという可能性がお互いにあるので、これからの景色が変わっていくと思います」と回答。

この回答に久野監督は「私にとっては初の長編作品だったので、本当にくらってしまったなという気持ちがあります」と心境を語りました。そして「これはある種ラッキーだと思っていて、もしこのラッキーが、また景色が見られたらうれしいと思うので、これを糧に頑張りたいです」とカンヌでの上映で決意を新たにしました。

☆作品詳細

2024年7月19(金) 全国公開

監督:久野遥子・山下敦弘
原作:いましろたかし『化け猫あんずちゃん』(講談社 KCデラックス 刊)
キャスト(声・動き):森山未來 五藤希愛
青木崇高 市川実和子 鈴木慶一 水澤紳吾 吉岡睦雄 澤部 渡 宇野祥平
制作プロダクション:シンエイ動画×Miyu Productions
脚本:いまおかしんじ 音楽:鈴木慶一 編集:小島俊彦
キャラクターデザイン:久野遥子 作画監督:石舘波子 中内友紀恵
美術監督& 色彩設計:Julien De Man コンポジット開発:Guillaume Cassuto
撮影監督:牧野真人 CG監督:飯塚智香 音響監督:滝野ますみ
実写撮影協力:マッチポイント
撮影:池内義浩 録音:弥栄裕樹 スタイリスト:伊賀大介
主題歌:「またたび」佐藤千亜妃(A.S.A.B)
プロデューサー:近藤慶一 Emmanuel-Alain Raynal Pierre Baussaron 根岸洋之
製作:化け猫あんずちゃん製作委員会
配給:TOHO NEXT

公式サイト:ghostcat-anzu.jp
公式X:@ghostcat_anzu

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