2021年に音楽活動30周年を迎えた奈須は、作詞作曲能力に評判があるが、これまで“小ヒット”が一曲のみ。現在は流しを中心に日銭を稼ぎながら精力的に新曲の発表を続けている。そんな彼は、バンドの結成25周年記念で沖縄・首里劇場にて行ったライブで、満員の聴衆を前に天衣無縫なパフォーマンスを繰り広げ、脚光を浴びた。
奈須は「自称“沖縄の中央線バンド”やちむんにとって、思い出深い吉祥寺での上映は、感慨ひとしおです。少し大げさですが、凱旋、あるいは故郷に錦を飾るぐらいの気分なのです」と思いをつづる。當間は「【首里劇場】全体が湧き、華やいだ…あの夢のようなひとときを記録した貴重な映画となった」と作品に言及した。
音楽家・映画監督の
映画「一生売れない心の準備はできてるか」予告編
奈須重樹(出演・「やちむん刺激茄子」リーダー)コメント
自称“沖縄の中央線バンド”やちむんにとって、思い出深い吉祥寺での上映は、感慨ひとしおです。少し大げさですが、凱旋、あるいは故郷に錦を飾るぐらいの気分なのです。
’90年代後半から、東京ライブのときにはいつも、吉祥寺に住んでいたIさんの所に泊まっていろんな町に出かけました。
井の頭公園でジャケット写真を撮ったこともあります。
「小金井、三鷹、吉祥寺」という歌も作りました。
一番観て欲しかったIさんは、もういないのですが、沿線にたむろするミュージシャン、役者などの様々な表現者たちに、いや全ての社会人に、そして、まだ何者でもない悶々とする若者たちにぜひ観て欲しい。
勇気も元気も100倍になることうけ合いです。
當間早志(監督)コメント
2016年のGW初日、沖縄最古のボロい映画館【首里劇場】で、イマイチ売れないミュージシャン奈須重樹のライブをプロデュースしたら、想定を超えるほどの大盛況に。具体的な目的なしに、とりあえずの記録として動画を撮り、ハンディレコーダーでも録音していたことが幸いし、映画にできた。当初は、奈須の楽曲やパフォーマンスの魅力を伝えることはもちろん、【首里劇場】の活用例の紹介を意図したが、一度完成して間もなく館長が急逝し、さらに諸々の理由で再編集を繰り返して決定版を完成。その後、建物も解体されて更地になった今、【首里劇場】全体が湧き、華やいだ…あの夢のようなひとときを記録した貴重な映画となった。
半野喜弘(音楽家 / 映画監督)コメント
この映画はコンサート映画ではない。音楽という名の”喜びと悲しみ”を抱えた奈須重樹のドキュメントだ。そこには當間早志監督らしい、失われゆくものへの慕情、持たざる者への愛に溢れた眼差しがある。今はなき首里劇場の舞台で「一生売れない心の準備はできてるか」と叫ぶ奈須重樹と演奏者達は眩しいくらいに輝いている。
石川浩司(ミュージシャン)コメント
「一生売れない心の準備はできてるか」そんなこと歌ってますが、この映画が突然アルゼンチンあたりで「YACHI-MUN! YACHI-MUN!」と大バズりすることだってあり得ますよ~。僕らもひょんなことでテレビに出たら、突然注目されてしまいアレヨアレヨということが昔ありましたから。ともあれ僕も自作曲をこんなに大勢の素晴らしいミュージシャンをバックに歌ってみたいものです。もしかしたら奈須さんは売れること以上の宝石をもう既に持っているのかもしれません。幾多の今は金銭的には売れている人たちも本当に欲しがってる「ミュージシャン冥利に尽きる」という、大きな大きな宝石を。みなさん、これが「男の生き様」です。
篠原章(音楽評論家)コメント
〈やちむん〉と付き合うきっかけは、拙著「ハイサイ沖縄読本」(1993年)に、〈やちむん〉の奈須重樹がカメラマンとして協力してくれたことに遡る。知り合ってまもなく、『チムがある』と題する自主製作カセットをもらった。そこには、粗削りながら、明るくも切ない、未知の沖縄がギュウギュウ詰めこまれていた。いつのまにか〈やちむん〉の世界にはまりこみ、長い歳月が流れた。この映画を観て、自分のカラダの4分の1以上が〈やちむん〉の世界でできていることに気づいた。それが証拠に、〈やちむん〉は売れる、といまも信じて疑わない自分がいる。「一生売れない」なんてとんでもない。〈やちむん〉は売れるにきまってる。
田中美登里(ラジオパーソナリティ)コメント
沖縄音階もカチャーシーもないけど、沖縄のおおらかな風が吹き抜けていく。“一生売れない心の準備”とは、自分に正直に生き続けること。それを寿ぐここは祝祭の宴。そんな心意気の沁み込んだ首里劇場に古酒で乾杯! 奈須さんにも乾杯!!
サエキけんぞう(パール兄弟)コメント
「導入から会場まで、沖縄のフレーヴァーでいっぱい! やちむんの妖しい人生観にあなたも触れてみないか!新曲「ストリーキング」好きです!