『ミッシング』公開記念舞台挨拶

映画『ミッシング』公開記念舞台挨拶
日時：5月18日(土)
場所：新宿ピカデリー
登壇：石原さとみ、中村倫也、青木崇高、𠮷田恵輔監督

本作は、失踪した娘を探し続ける母親が、“育児放棄の母”というレッテルを貼られながらも、娘に再会したいという一心で世の中にすがり続ける姿を描いた物語です。主人公の母・沙織里を石原が演じ、彼女の取材を続ける地元テレビ局の記者・砂田を中村が、沙織里の夫・豊を青木が演じました。

観客を前に、石原さんはまず「この作品について誰かと話すことで、共感したり理解が深まったり、不安な気持ちに光を見出せると思います。ぜひ皆さんで語り合ってください」と挨拶しました。

石原さとみ

中村は「たくさんの方に観ていただいて、じんわりとした気持ちになっていただければと思います」と観客へ挨拶。

中村倫也

青木は「この映画を観るのに、多くの心のエネルギーを使ったと思います」と観客を気遣いながらも、「それでも、観てよかったと思っていただける作品だったのではないでしょうか」と力強く述べました。

青木崇高

MCからキャスト陣に対して「注目してほしいシーンは？」と尋ねられると、スクリーンに場面が写し出され、石原は「情報提供を呼びかけるチラシの美羽の目に画鋲が刺さっているシーンです。美術が整えられた状態で段取りをしていたのですが、その場面を見て本当に胸が苦しくなり、泣くシーンではなかったのに涙が止まりませんでした。撮影が終わって戻ると青木さんが『俺もあのチラシを見たよ』と言ってくれました」と振り返りました。青木さんは、「たまたまその場所を通りかかったときに見てしまい、演出が見事すぎると思いました」と吉田監督の演出の素晴らしさを称賛しました。

中村倫也、石原さとみ

中村は「飲み会でみんなが盛り上がっているときに、砂田が“マジレス”をして場が一瞬静かになるシーンがあります。台本を読んだときから“あるある”だと思っていて、僕も同じようにマジレスをして場の雰囲気を変えてしまうことがあります。皆さんも似たような経験があるのではないでしょうか？こういった共感できる部分が、作品と観客を結びつけるポイントだと思います」と話しました。これに対して石原は「中村さんも冷静に鋭くツッコむことがありますよね」と同意しました。

中村倫也、石原さとみ

MCが「中村さんをキャスティングした理由は、彼と砂田に共通点を感じたからですか？」と尋ねると、吉田監督は「私の嗅覚はかなり当たるんです。冷静に俯瞰して見ている砂田役には、中村さんがぴったりだと思いました。青木さんも、カメラが回っていないときでも“妻を支える旦那”という雰囲気を醸し出していました」と述べました。さらに、青木は沙織里の弟・圭吾が映るカットについて「森優作くんの佇まいが素晴らしいです。とんでもないキャストを起用しましたね」とコメントすると、中村は「監督は森くんが大好きなんですよ。いつもかわいいって言っています」と明かしました。

石原さとみ、青木崇高

吉田監督は「チラシを配っているときに女性が通りかかる場面」を注目してほしいと述べました。その女性がサボテンを持っていることについて、「何か持たせようということになり、サボテンに決めました。石原さんがその女性の前で熱演していたので、悲しいシーンにもかかわらず、モニタの前で笑うのを我慢していました」とエピソードを披露しました。さらに、吉田監督は「ガヤが騒いでいるシーンでも、石原さんは一切そちらに目をやらずに演技を続けていたのがすごいと思いました。普通なら『うるさいな』と感じて、ちらっと目線をやって戻す演技を入れることもありますが」と続けました。これに対して石原は、「その遠くの声が沙織里の感情を逆撫でして、感情を高ぶらせる要因になっていました。自分の感情でいっぱいで、そちらが気になることはありませんでした」と振り返りました。吉田監督は、「（役に）取り憑かれているんですね」と石原の演技を称賛しました。

𠮷田恵輔監督

続いてMCからラストシーンについて質問に吉田監督は、本作について「物事に折り合いを付ける話というより、折り合いを付けるのが無理な状況にいる人々がこの先どう生きていくかをテーマにしています」と述べました。「沙織里自身が自発的に変わらないと前に進めない。一番つらいはずの自分が他者のために行動することで、それが最終的に自分に返ってくる。そうしたことが救いになるのではないかという願いを込めています」と続けました。

: 石原さとみ

: 青木崇高

イベントでは、「つらいけどラストには優しい気持ちになれる」というテーマにちなみ、最近感じた優しさについて話す場面がありました。石原は「子どもにぴったりのサイズの机を探していたのですが、見つかりませんでした。その話を義理の両親にしたところ、子どもの誕生日に合わせて、角が丸くなった高さもぴったりの名前入りの机を作ってくれました」と心温まるエピソードを披露しました。

義理の両親からのDIYプレゼントに「本当に驚くほどの優しさを感じました」と感激した様子で語り、「子どももその机で食べたり飲んだりしていて、とても嬉しいです」と微笑みました。

これに対して、中村は「俺に言ってくれたら作れたのにな」と冗談めかして悔しそうにし、DIY好きを疑う石原に対して「僕は、文庫、新書、DVD、新装版の漫画などがぴったり入る棚を作ったりしています」と自分の得意分野をアピールしました。そして、「今度は、義理の両親と競い合います」と宣言し、会場を笑わせました。

中村倫也、石原さとみ

石原は、先日家族で行った公園でのエピソードを披露し、迷子になっていた他の家の子供を一生懸命探した際、子供を探す母親の鬼気迫る表情や、自分自身も感じた焦りと恐怖、最後に子供が見つかって安堵の涙を流す母親を見たと語り、「沙織里を演じることで、自分にとっての財産となるべき感情を知ることができました。撮影から1年以上経っても、沙織里の気持ちが私の中に住み続けています。彼女の苦しさやつらさが少しでも伝わればと思います。そして、皆さんが誰かに優しく温かい言葉をかける機会が増えることを心から願っています」と、観客に向けて真摯な思いを伝えました。

物語・・・
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま 3 ヶ月が過ぎていた。
娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。
唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。
そんな中、娘の失踪時、沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。
世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。
一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。
それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。
その先にある、光に———。
映画『ミッシング』

「ミッシング」作品情報

公開日	2024年5月17日公開中
キャスト	監督：吉田恵輔出演：石原さとみ青木崇高森優作小野花梨細川岳有田麗未小松和重カトウシンスケ山本直寛柳憂怜美保純中村倫也
製作	井原多美菅井敦小林敏之高橋雅美古賀奏一郎
	企画：河村光庸プロデューサー：大瀧亮長井龍古賀奏一郎アソシエイトプロデューサー：行実良小楠雄士
	撮影：志田貴之照明：疋田淳録音：田中博信装飾：吉村昌悟衣装：篠塚奈美ヘアメイク：有路涼子
配給	ワーナー・ブラザース映画
制作国	日本（2024）
上映時間	118分
公式サイト	https://wwws.warnerbros.co.jp/missing/
公式 X	＠kokoromissing
Instagram	＠kokoromissing