原題:DUMB MONEYが邦題『ダム・マネー ウォール街を狙え!』として、来週2月2日(金)より全国公開となります。
このたび、本作の公開に先立ち1月26日(金)に先行試写会を開催いたしました。また上映後は株式投資家・テスタ氏をゲストに迎え、トークイベントを行いました。
先行試写会&株式投資家・テスタ登壇トークイベント
日時:1月26日(金)
場所:神楽座
登壇:テスタ(株式投資家)
MC:立田敦子(映画ジャーナリスト)
2021年初頭、新型コロナウイルスのパンデミックの渦中だったアメリカの金融マーケットが激震する前代未聞の大事件が発生した。ネット掲示板に集った小口の個人投資家たちが、倒産間近と囁かれていたゲームストップ社の株を買いまくり、同社を空売りしていたヘッジファンドに大損害を与えるといった反乱劇が起こったのだ。ゲームストップ株に全財産を投じたごく平凡な会社員キース・ギルに焦点を当て、事件の驚くべき内幕を描き出す本作は、キースと、彼の主張に共感して夢を追い求めた人々の人間模様が、破格のサプライズとユーモア満載で繰り広げられていく。
アメリカの金融マーケットで実際に起きた前代未聞の事件を描いた本作にちなみ、株式投資家としてYouTubeをはじめTVやSNSでも活躍するテスタが上映後のトークイベントに登壇。テスタ氏は2005年に300万円を元手に投資をスタートして以来、19年間投資を続け、累計利益は80億円を超えるという人気カリスマ個人投資家。初心者にも分かりやすい劇中の投資シーン解説や個人投資家ならではの見どころを存分に語り、大盛況のイベントとなった。
上映後、大きな拍手で迎えられたテスタ氏は「本日は寒いなかお集まりいただきありがとうございます」と挨拶をしつつ、「僕は株式投資家ですので日々、投資の利益だけで生活をしています。なので主人公キース・ギルに共感できる部分も多く、とても面白かったです」とコメントした。
本作は2021年のアメリカで実際に起きた“ゲームストップ株騒動”に基づく実録エンターテインメント。アメリカでは社会現象にもなったこの騒動だが、テスタ氏は「ゲームストップ株騒動は当時ほんとうにびっくりしました。僕は主に日本株の取り引きを行っていて、この騒動はアメリカ株ですので市場は異なりますが、それでもやっぱり大きなニュースになりましたよね」と当時を振り返りながら、「2021年の騒動だと思うと、本当に映画化が早いですよね。旬を逃さないところがすごいと思います。もう映画化されたんだ!とびっくりしました」と率直に語った。
また映画の感想を聞かれると「とにかくリアリティがすごい!実在の人物を実名で描いていて、許可取ってるのか?と不安になるところもありつつ、夢がありますよね。1千万が10億に、となったわけですから。たった2、3年前の出来事でもあって、そこが完全なフィクションとはまた違った感覚で見られる点ですね」と本作の見所を紹介した。
本作で描かれる“ゲームストップ株騒動”は、個人投資家で主人公のキース・ギルが強欲エリートたちの〈空売り〉に対抗していく筋書き。聞きなれない投資専門用語も飛び出す作品だが、“投資をやっている人はどのくらいいますか”という問いかけには会場の半数が挙手。これに対してテスタ氏は、「時代は変わりましたね。若い方も多くいらっしゃる。やはり新NISAなども始まって株式投資が一般的になってきたと感じます。僕が投資を始めた20年前の頃は、ほとんど誰もやっていませんでしたから。知っている話題の映画の方が頭に入ってきやすいと思いますし、まさに今見るべき作品だと改めて感じますね」と評価。また〈空売り〉についても、「普通は株って、買って、値段が上がったら売ります。対して〈空売り〉の場合は売るところからスタートなんです。なので株の値段は下がった方が儲かるというのが〈空売り〉の仕組みです」と簡単な解説を披露してくれた。
個人投資家vsウォール街エリート
ウォール街のエリートたちとSNSで集結した個人投資家たちの下剋上的な対立構造も本作の魅力のひとつ。そんな個人投資家とウォール街のエリートたちの対立構造は、日本でも起き得ることなのか?との質問には「可能性はあると思います」と前置きしつつ、「ただ、法律が追い付いていないだけで、もうあと1年の間に捕まるなんてこともあるんじゃないかと僕は思います。それくらい、配信やSNSなどで言及し実際に株価が動いてしまうことで“株価操縦”という罪にみなすかどうかは結構グレーなところがあるため、僕自身もライブ配信で株式投資について話す際には具体的な株の銘柄についての話は避けているんですよ」とSNSで活躍する投資家ならではの答えが飛び出した。
さらに、話題は本作の主人公キース・ギルの投資法に。初心者の投資は“分散投資”が基本と言われるなか、キース・ギルはギャンブルのように全財産を投資へつぎこむ。彼の投資スタイルについて、投資家という立場から見た意見を求められると、「いや、絶対だめだと思いますよ」と断言し、会場からは笑いが。「人生を賭けてひとつの銘柄に投資するというのは、まさしくギャンブルだと思いますし、当たればもちろん利益は大きいですが僕はオススメしないです」としつつ、「ただ彼の何よりすごかったところは、全財産を投資して余裕のない中で、1億や2億、10億になっても売らずにいたというところですね。これはなかなかできることじゃないと思います。それほどの強い想いと、精神力の賜物ですよね」と関心していた。
またテスタ氏は、同じ個人投資家として本作の主人公キース・ギルに共感する部分も多かったという。最もリアリティがあったと感じるシーンには、主人公が周りの人たちから株を売れと迫られる場面をチョイス。「本当にそのままですよ。家族も友人もみんな売れ売れと言うのが一般的な感覚だと思います。それでも売らなかったのがやはりすごかったですね。僕は、持ち株が何億円になったときに、親にはもうやめておきなさいと言われましたけど、その点では主人公と同じく耳を貸さずに続けました。ギャンブルではないと思っていますから。増えるべくして増えると思ってるし、そういう自分を信じて続けています。何事もやってみなきゃわからない」と自身の経験も踏まえ熱くコメント。
最後に・・・
本作を見て投資を始めようという方も多くいると思うので株式投資の初心者へ向けたアドバイスはありますか?という質問に「こういう映画を見て始めようというのは危険だということがアドバイスですかね」と笑顔を見せ会場の笑いを誘った。また、「映画は映画なので、もちろん夢を見ることは大事ですが、勉強して始めるというのが大事だと思います。最も重要なのは自分名義の口座内でやりくりすること。被害にあった後だと何にもできないんですよね。凄腕トレーダーが勝手にお金を増やしてくれるということはないですから」と呼びかけ、温かい拍手のなかでトークイベントは終了した。
監督:クレイグ・ギレスピー(『クルエラ』 『アイ、トーニャ史上最大のスキャンダル』)
原作:ベン・メズリック(The Antisocial Network/「ソーシャル・ネットワーク」原作者)
脚本:ローレン・シューカー・ブラム&レベッカ・アンジェロ
出演:ポール・ダノ ピート・デヴィッドソン ヴィンセント・ドノフリオ アメリカ・フェレ―ラ ニック・オファーマン アンソニー・ラモス セバスチャン・スタン シャイリーン・ウッドリー and セス・ローゲン
【2023/アメリカ/英語/105分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/スコープ/原題:DUMB MONEY】
字幕翻訳:橋本裕充
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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