3月14日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開される映画『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』の本予告が公開された。
第76回カンヌ国際映画祭にて監督週間に選出された本作。どこか物憂げな高校生リリアン（タリア・ライダー）を主人公に、恐怖とユーモアが交錯する現代アメリカ（＝不思議の国）の闇（＝リアル）をめぐる、数奇な旅を描く。
本作で監督デビューを飾ったショーン・プライス・ウィリアムズは、これまでに長編映画を約60本、さらに50本の短編と7本のシリーズもの、他にもミュージックビデオなど、計120本を超える作品で活躍してきた。本作でも16ミリフィルムでの撮影にこだわった。
主人公・リリアンを演じたのは、『17歳の瞳に映る世界』のタリア・ライダー。リリアンが不思議な旅で出会う人物として、『レッド・ロケット』のサイモン・レックス、『プリシラ』のジェイコブ・エロルディ、ニック・ケイヴの息子であるアール・ケイヴ、『エミリー、パリへ行く』のジェレミー・O・ハリスらが出演する。
公開された本予告は、修学旅行でワシントンD.C.を訪れている高校生のリリアン（タリア・ライダー）が、はしゃぐ同級生を前に浮かない表情で「こんなの嫌」と話すシーンからスタート。一見、悩める少女のスクールライフを描いた青春映画かと思いきや、次の場面で様子が一変。宿舎から抜け出していったバーで彼女は銃乱射事件に遭遇してしまうのだった。混乱状態の店内でリリアンは見知らぬパンク青年に導かれ、なんとかトイレへ避難。そこには、地下通路へとつながる大きな鏡の扉があり、リリアンは不思議の国・アメリカへと迷い込んでいく……。
その後、リリアンが出会うのは、感傷的なネオナチ大学教授、インテリ気取りの映画監督、山奥に集うイスラム主義者など、トランプ時代の現代アメリカを表すような人々。後半では、大金を手にし驚くリリアンや、行方不明となった彼女を追う物騒な人らも登場し大騒ぎに。マーティン・スコセッシによる「ショーン・プライス・ウィリアムズのような巨匠から学ぶことは多い」というコメントも添えられている。
また、一足早く本作を鑑賞した有識者からコメントも到着した。
コメント
鍵和田啓介（ライター／編集者）
まるでソフィア・コッポラがリメイクした『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』。
トランプ政権以後に皮肉な政治コメディを作るなんて野蛮だ。それでもなお作ってしまった蛮勇に拍手を。
降矢聡（グッチーズ・フリースクール／映画配給）
さすがはメイズルス兄弟に師事したショーン・プライス・ウィリアムズ監督。
不思議な魅力を持つリリアンを通して、アメリカの多様な風景と文化を鮮やかに描き出した。
スウィートで恐ろしい、めくるめく傑作！
村山章（映画ライター）
ここではないどこかへ、という青春映画の永遠のテーマを、最強の空っぽ娘がひっかき回す！
われわれはこの魅惑的な虚無に立ち向かえるのか？
山崎まどか（コラムニスト）
混乱したティーンエイジャーの目には、今の米国がこんな風に見えるのかも。
イデオロギーと男たちを軽やかにすり抜けながら、それでも彼女は「アメリカ」から逃れられない！
ゆっきゅん（DIVA）
わくわくするようながっかりするような世界を、リリアンは軽やかに彷徨う。
狂った時代におかしな場所で生き延びるには、こんなおとぎ話が必要だ。
『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』
3月14日（金）より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
出演：タリア・ライダー、サイモン・レックス、ジェイコブ・エロルディ、アール・ケイヴ、ジェレミー・O・ハリス、アヨ・エデビリ、リッシュ・シャー
監督・撮影：ショーン・プライス・ウィリアムズ
脚本：ニック・ピンカートン
提供：ニューセレクト
配給：アルバトロス・フィルム
2023年／アメリカ映画／英語／104分／16：9ビスタ／5.1ch／原題：The Sweet East／R15+
©2023 THE SWEET EAST PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト：sweet-east.jp
公式X（旧Twitter）：@The_Sweet_East
