公開初日舞台挨拶
日時:1月17日(金)
会場:新宿ピカデリー
登壇者:菅田将暉、井上真央、中村雅俊、三宅 健、岸 善幸監督、宮藤官九郎(脚本)
『サンセット・サンライズ』の初日舞台挨拶が1月18日(金)に新宿ピカデリーで行われ、菅田将暉、井上真央、中村雅俊、三宅健、岸善幸監督、脚本を担当した宮藤官九郎が登壇した。
現代社会における「移住」をテーマに、新たな幸福の形を描く本作は、脚本を宮藤官九郎、監督を岸善幸が務めています。宮藤官九郎は数々の注目作を手がけ、その期待と信頼を集める脚本家であり、岸善幸監督は2023年の映画『正欲』で第36回東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞した実績を持つ人物です。両者は東北出身であり、このコラボレーションによって本作が誕生しました。
主演には、菅田将暉が抜擢されています。彼は『あゝ、荒野』(2017)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を含む数々の映画賞を受賞して以来、7年ぶりに岸監督と再びタッグを組む形となりました。物語は、都会から宮城県南三陸町へ移住した釣り好きのサラリーマン・西尾晋作と、現地住民との交流を描いています。作品はコロナ禍や地方の過疎化、震災といった社会問題を背景に据えつつ、ユーモアを交えて地域住民の力強さや温かさを表現したヒューマン・コメディとなっています。
映画の公開初日を迎え、主演の菅田は「やっと映画が公開できました。よかったと言ってもらえたら嬉しいです」と感慨深げに語りました。本作で初共演となる中村との最初のシーンについて、中村は「初めて菅田さんを見たのは、遠くからの撮影シーンでした。それまで会ったこともなかったので、ああ、これが菅田さんかと思いながら見ていました」と笑いを交えて振り返りました。
中村について、井上は「宮城出身で方言はネイティブのはずなのに、現場で練習していました」と明かしました。これに対し中村は「確かに宮城出身ですが、ネイティブな宮城弁を話すのは意外と難しかったです。微妙にニュアンスが違う部分があって」と語りました。
中村は本作に対して特別な思いがあると語り、「デビューして51年になりますが、宮城弁を話す役を演じたのは今回が初めてでした。『絶対にネイティブで話そう』と意気込んだものの、理想通りにはいきませんでした」と振り返りました。また、共演者である小日向文世との関係についても触れ、「かつて自分の付き人だった小日向と、タイトルで隣同士に名前が並んだのは今回が初めてで、とても感慨深いです」と語りました。
さらに、中村は「最後のタイトルを見たとき、『小日向と自分の名前が並んでいる』と感じて本当に嬉しかった」と喜びを語り、客席から拍手が送られると笑顔で「ありがとうございます」と感謝の意を示しました。
「モモちゃんの幸せを祈る会」について、三宅は「メンバーそれぞれがモモちゃんに強い思いを抱えているものの、誰が行動を起こすのか言い出せないもどかしい関係性の集まりです」と説明しました。この会のメンバーが織りなすユーモアにあふれた場面について、三宅は「アドリブはなく、脚本通りに演じています」とコメントしました。一方、菅田は「監督がシーンに追加したいと提案してアドリブを撮影したこともありましたが、最終的にカットされました」と明かしました。このエピソードを初めて聞いた脚本家の宮藤官九郎は「今知りました。見てみたかったです」と笑いを誘いました。
井上は、宮藤官九郎の脚本について「コメディの要素はもちろん、宮藤さんの描く寂しさやモヤモヤした感情がふとにじみ出る瞬間が好きです。そういった部分を観る人に委ねるようなスタイルが魅力的だと思いました」と語りました。一方、三宅は「行間を感じられる脚本で、泣くつもりがなくても自然とセリフに感情を引き込まれる」と脚本の魅力を述べました。
撮影現場を訪れた宮藤官九郎は、三宅の役柄について「金髪で真ん中だけ黒くなっている髪型で、地元の方かと思うほどのリアリティがありました。本当にハマっていました」と振り返りました。また、三宅の演技について「方言が非常に上手で、東北の人しか使わないようなニュアンスを見事に再現していました。耳が良いのだと思います」と称賛しました。
撮影中には、取っ組み合いのシーンで思わず笑いをこらえられなくなる場面もあったと菅田将暉は振り返りました。「絶対に笑ってはいけない状況でしたが、熱のこもったおじさんたちの様子が少し面白くて」と語りました。このシーンについて三宅は、「何回も取り直した結果、全員が声を出しすぎて喉がかれてしまいました。撮影後には菅田さんが喉を潤すためのお茶を作って皆に配ってくれて、とても気遣いのできる人だと感じました」とエピソードを明かしました。
また、井上は、自身が演じる百香が劇中でマスクを外すシーンについて触れ、「監督からその瞬間にスローをかけると聞きました。その際、晋作(菅田将暉の役)がドキッとするという演出だったので、かわいい表情を意識しなければならないのかと考えすぎてしまいました。結果的に、自分でスローをかけるような不自然な動きになり、笑いそうになりました」と語りました。
舞台挨拶の最後に、岸善幸監督は「撮影現場は笑いにあふれ、楽しい時間でした。その雰囲気を映画として形にしたいという思いで制作しました。今日、皆さんに楽しんでいただけたなら本望です」と観客に語りかけました。
さらに菅田は「この映画が、旅に出るきっかけや美味しいものを味わいたいと思う機会になれば嬉しいです。ぜひ東北の地にも足を運んでみてください」と観客に向けてメッセージを送りました。
物語新型コロナウイルスのパンデミックで世界中がロックダウンに追い込まれた2020年。リモートワークを機に東京の大企業に勤める釣り好きの晋作(菅田将暉)は、4LDK・家賃6万円の神物件に一目惚れ。何より海が近くて大好きな釣りが楽しめる三陸の町で気楽な“お試し移住”をスタート。仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来た〈よそ者〉の晋作に、町の人たちは気が気でない。一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた—?! |
主演:菅田将暉
脚本:宮藤官九郎 監督:岸善幸『あゝ、荒野』
原作:楡周平「サンセット・サンライズ」(講談社)*文庫版は10月16日刊行予定
製作:石井紹良 神山健一郎 山田邦雄 竹澤 浩 角田真敏 渡邊万由美 小林敏之 渡辺章仁
企画・プロデュース:佐藤順子 エグゼクティブプロデューサー:中村優子 杉田浩光 プロデューサー:富田朋子
共同プロデューサー:谷戸豊 撮影:今村圭佑 照明:平山達弥 録音:原川慎平 音響効果:大塚智子
キャスティング:田端利江 山下葉子 美術:露木恵美子 装飾:松尾文子 福岡淳太郎 スタイリスト:伊賀大介 衣装:田口慧
ヘアメイク:新井はるか 助監督:山田卓司 制作担当:宮森隆介 田中智明 編集:岡下慶仁 ラインプロデューサー:塚村悦郎
製作幹事:murmur 制作プロダクション:テレビマンユニオン
配給:ワーナー・ブラザース映画
Ⓒ楡周平/講談社 Ⓒ2024「サンセット・サンライズ」製作委員会