映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』の初日舞台挨拶が11月22日、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで開催された。主演の内野聖陽をはじめ、共演者の川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈、真矢ミキ、小澤征悦、そして監督の上田慎一郎が登壇した。
本作は2016年の韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』を原作に、上田監督がオリジナル要素を加えたクライムエンターテインメント。物語は、税務署職員・熊沢(内野聖陽)と天才詐欺師・氷室(岡田将生)が、脱税された10億円を取り戻すために「アングリースクワッド」という詐欺師集団を結成し、壮大なミッションに挑むという内容である。
上田監督は、この作品を長年温めてきたと語り、「足かけ6年、大事に育ててきた企画。この光景を見られて感無量です」と満席の会場に感慨を露わにした。さらに、「映画にはさまざまな意義がありますが、この作品はお客様を徹底的に楽しませることを目指しました。このフィクションが現実を生きるエネルギーになれば幸いです」と、作品への思いを語った。
主演の内野は「上田監督は情熱的で、不撓不屈の精神と熱意からこの映画が生まれた」と監督を称賛。撮影現場については「面白い映画を作るために徹底的に打ち合わせを重ねた。手作り感覚の強い現場で、良いセッションができた」と振り返った。一方で、「途中で投げ出したくなることもあった」と苦労を明かし、上田監督も「内野さんの台本には提案の付せんがたくさん貼られていて、それをクリアするまで打ち合わせが終わらなかった」と制作過程のエピソードを語った。
川栄も内野の「付せん台本」を目にしたことがあり、「本読みの際、全ページに付せんが貼られていて驚いた」と振り返った。さらに、「書き込みがびっしりとされていて、その内容を何度も書いては消している様子がうかがえた」と述べ、自分の簡素な台本が恥ずかしく感じられたと明かした。また、「内野さんの姿勢に感銘を受け、大いに学ばせてもらいました」と敬意を示していた。
森川は、「本来ならここに岡田さんがいるはずですが、今日は残念ながら来られないということで、その分までたくさん話せたらと思います」とコメント。後藤も、「岡田さんは詐欺集団のボスなので、今日は彼の分も頑張って、滑舌よく話したいと思います」と意気込みを語った。
後藤も、「岡田さんは詐欺集団のボスなので、今日は彼の分も頑張って、滑舌よく話したいと思います」と意気込みを語り、また、共演者たちとの撮影について、「皆さん個性的な方ばかりでした」と振り返った。内野聖陽については、「一緒のシーンで『ここはこうしよう』と積極的にアドバイスをいただきました」と感謝を述べ。また、現場の進行が押している際に焦りを感じた場面では、小澤が「裏に行って稽古するぞ」と声をかけてくれたことを明かし、「意外な一面を見せてくださって、本当にありがたかったです」と感慨深げに語った。
“脱税王”を演じた小澤は、後藤剛範との撮影エピソードについて、「そんなことあったかな?覚えてないけど」と軽くとぼけながらも振り返った。小澤は「共演者の皆さんは知的な詐欺師を演じていましたが、後藤さんは唯一の体力派で、リハーサル中に僕とぶつかりそうになるシーンがありました。その衝撃が軽トラックにぶつかったように感じたので、身体が大事な僕としては『稽古をやろうか』と提案しました」と、少し照れくさそうに語った。
上川は、撮影前に全員での本読みについて触れ、特に印象的だった出来事として即興演技(エチュード)の取り組みを挙げた。脚本の内容に加えて、キャラクターとして“その先”を考えたセリフを即興で演じた経験について、「キャラクターの視点でセリフを紡ぎ出すという貴重な体験ができ、それがそのまま作品に活かされる形で準備が整ったのは非常にありがたかったです」と振り返った。
闇金のボスを演じた真矢ミキは、自身の役作りについて「ボス役なので、どの場面で迫力を出そうかと考えていましたが、監督から『そのままで静かにいていただければ十分です』と言われました。それが一番のアドバイスでした」と語った。また、現場での上田監督について「撮影中、一番動いていたのが監督で、最初はADさんだと思っていました」と明かし、会場の笑いを誘った。
岡田との共演について森川は「ボス役なのですが、現場では“ボス感がないボス”という印象でした」と述べ、「まとめているようで、そう見えないけれど、上手く誘導されている感じがして、不思議な方だなと思いました」と語った。また、隣にいた後藤にも話を振り、後藤は「こちらがリラックスできるような雰囲気で会話をしてくれる方でした。それがとても印象的で、無理をした記憶がまったくないです」と同意した。
この日の舞台挨拶では、登壇者たちが映画のテーマにちなんで「最近あった予測不能な出来事」について話す場面があった。内野は、「この映画が皆様の心に届くのか、ヒットするのか、あるいはコケてしまうのか、予測不能でドキドキしています」とコメント。その後、上田監督から都内の映画館での上映が盛況だったと報告を受け、安堵の表情を見せた。
真矢は「最近の天気です。おとといは寒かったので、今日はダウンを着てきたら汗だくになってしまいました。皆さんも気をつけてください!」と、天候の予測不可能な変化について言及し、観客に呼びかけた。
森川は「この映画は豪華なキャストが揃っていて、大先輩方も多いので、正直に言うと『仲良くなることはないだろうな』と思っていました。先輩方と話すこと自体も緊張しますし、しゃべる時間もないだろうと思っていたのですが、予測外のことに、まさか仲良くなり、現場が終わった後にみんなでご飯に行くことがありました」と振り返り、さらに「小澤さんが連絡をしてスケジュールを調整してくれて、驚きました」と述べた。
撮影終盤には、上田監督が新型コロナウイルスに感染し、自宅からリモートでの演出を行う事態となった。上田監督は、「スケジュール的に撮影を止めることができなかったため、iPadを使って自宅から撮影の様子を確認し、現場ではスピーカーを通じて指示を出す形をとった」と振り返った。
内野聖陽は当時の状況について、「小澤さんたちが現場をまとめて『やってみよう』という流れになると、監督の声がスピーカーから聞こえてきて、『それはダメです』と言われて撮り直しになることが多かった」と、その苦労を語った。一方、小澤征悦は「まさに『カメラを止めるな』を地で行くような現場だった」とユーモアを交えてまとめ、会場を笑わせた。
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』作品情報
公開日 | 11月、新宿ピカデリーほか全国公開 |
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キャスト | 監督:上田慎一郎 出演:内野聖陽 岡田将生 川栄李奈 森川葵 後藤剛範 上川周作 鈴木聖奈 真矢ミキ |
配給 | NAKACHIKA PICTURES =JR 西日本コミュニケーションズ |
制作国 | 日本(2024) |
上映時間 | 120分 |
公式サイト | https://angrysquad.jp/ |
X | @angrysquad2024 |
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