史上最大の被害を残した台風を題材に描いたフィリピン映画『たとえ嵐が来ないとしても』が9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開。公開に合わせて、カルロ・フランシスコ・マナタッド監督の来日舞台挨拶が行われることが決定した。
2013年11月8日、史上最大の台風ハイエンがレイテ島のタクロバンを襲った。死者・行方不明者7361人、総被災者は人口の約16%にあたる1600万人に上り、フィリピン史上最大の被害をもたらしたと言われている。タクロバン出身のカルロ・フランシスコ・マナタッド監督は壊滅状態となった故郷の物語を2014年に執筆し、被災から約6年後の2020年2月に復興途中のタクロバンの実際の被災地で本作を撮影した。
監督の来日決定にあわせて、監督からのメッセージも到着。来日舞台挨拶のスケジュール、メッセージ全文は以下のとおり。
カルロ・フランシスコ・マナタッド監督来日舞台挨拶予定
渋谷 シアター・イメージフォーラム
9/14(土) 10:45の回 上映後 登壇:カルロ・フランシスコ・マナタッド監督
9/15(日) 10:45の回上映後 ゲスト:カルロ・フランシスコ・マナタッド監督、鈴木勉(国際交流基金マニラ日本文化センター所長)
名古屋 シネマスコーレ
9/21(土) 13:15の回上映後 登壇:カルロ・フランシスコ・マナタッド監督
大阪 第七藝術劇場
9/21(土) 16:00の回上映後 登壇:カルロ・フランシスコ・マナタッド監督
監督からのメッセージ
2013年11月8日、観測史上最強の台風がフィリピン東部に上陸し、私の故郷であるタクロバンの大部分が破壊された。故郷の恐ろしいまでもの損失と私の悲痛な個人的な葛藤がぶつかり合い、台風の余波を題材にした映画を作ることにした。息子と母親、そして彼らのコミュニティの物語を通して、私自身の人生と故郷が破壊された奇妙な軌跡をたどり、映画は夢のように展開する。観客が登場人物の生きるための意識と闘いに没頭できるよう、筋書きは意図的に最小限に抑えた。理由もなく自然災害に多くを奪われた無意味さの果てに、登場人物たちは否応なしに自分たちの正義感を失っていく。生き残るための絶望的な闘いの中では、あらゆる人間性や道徳観が侵食され、自分を守るためには他者を滅ぼさなければならない。誰も無実ではいられないのだ。
荒唐無稽な状況を描きながらも、この映画は決して空想的ではなく、現実に根ざしている。不条理とシュールなタッチの表現–そして、ノアの方舟を彷彿とさせる、地獄からようやく這い上がろうとする人々の脱出劇–は、登場人物たちが経験している混乱と無秩序の感覚を呼び起こすために、疎外感を演出することを意図している。この映画は人間対自然の奇妙な関係をバランスよく描いている。人間は自然を破壊し、自然はそれに反応する。
『たとえ嵐が来ないとしても』は、私たちが今いるこの時代に議論することが重要だと感じる気づきと出来事を提示している。悲惨な状況を理解することはコミュニティのみならず、人間のあり方をも変えてしまうというこの映画を通してのテーマを紐解く事は、最終的に、愛、夢への希望、そして生き抜く事の本質を定義するのだ。
Carlo Francisco Manatad
監督:カルロ・フランシスコ・マナタッド
マニラを拠点に活動する映画監督、編集者。フィリピン大学映画学部卒業。短編「Junilyn Has」がロカルノ映画祭、短編「Jodilerks Dela Cruz, Employee of the Month」がカンヌ映画祭批評家週間、短編「The Imminent Immanent」がトロント国際映画祭で 上映され、フィリピンを代表する若手監督として世界から注目を浴びる。フィリピンで最も人気の編集者でもある彼は、インディーズからメジャーまで国内外の多くの監督の作品を手がけてきた。Asian Film Academy、Berlinale Talents、Talents Tokyo、Locarno Filmmakers Academyの修了生。『たとえ嵐が来ないとしても』は初の長編監督作。
たとえ嵐が来ないとしても
2024年9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開
9月21日(土)より大阪 第七藝術劇場にて上映
9月21日(土)より名古屋 シネマスコーレにて上映
原題:Kun Maupay Man It Panahon 英題:Whether the Weather Is Fine
監督・脚本:カルロ・フランシスコ・マナタッド(初長編監督作品)
出演:ダニエル・パディリア、ランス・リフォル、チャロ・サントス
2021年/フィリピン/104分/ワライ語/字幕:日本語、英語
配給:Foggy