映画

「TOUCH/タッチ」公開記念舞台挨拶

バルタザール・コルマウクルが監督を務めた本作では、初期の認知症を患う主人公クリストファーが、かつて失踪した恋人の謎を解くためにアイスランドからイギリス、そして日本を巡る姿が描かれています。現代のクリストファーをエギル・オラフソン、青年時代のクリストファーをパルミ・コルマウクルがそれぞれ演じています。

物語では、1969年のロンドンで主人公クリストファーが最愛の女性ミコと出会うエピソードが描かれ、ミコ役をKoki,が演じている。また、ミコの父で日本料理店を営む高橋役を本木雅弘が担当。さらに、2020年の日本でクリストファーと出会い、共に酒を酌み交わすクタラギ役には中村雅俊がキャスティングされている。これらのキャラクターを通じて、クリストファーの旅が時間と場所を超えて立体的に描かれている。

Koki

Koki,は満席の観客を前に、「この映画は私にとって特別な宝物のような作品です。多くのことを学ばせてもらった作品なので、ついに皆さんにお届けできることがとても嬉しいです」と感謝の意を伝えた。また、3カ国にわたる撮影について、「スタッフの皆さんが温かく支えてくださり、家族のようなチームワークで進めることができました。特に監督の優しさと情熱には何度も心を動かされました」と撮影を振り返った。

本木雅弘

一方、本木雅弘はアイスランドでの撮影エピソードを交えながら、「アイスランドの人々は穏やかで家庭的な方が多く、非常に勤勉な印象を受けました。その姿勢には日本人と共通する部分があると感じました」と現地での印象を語った。

中村雅俊

中村は、劇中でカラオケを歌うシーンについて触れ、「突然現れてクリストファーと意気投合し、お酒を酌み交わしてカラオケを楽しむ役でした。楽しい雰囲気を意識して撮影に臨みました」と振り返った。このエピソードに対して、本木雅弘は笑顔を見せながら「その曲も素晴らしいですが、私たちの世代としては中村さんの代表曲『ふれあい』をぜひ歌っていただきたかったですね」とコメントし、会場の笑いを誘った。

また撮影中に驚いたエピソードとして「新宿ゴールデン街での撮影」を挙げた。日本国内の撮影では、通常、一般の通行人に協力を求めて写り込まないように調整することが一般的だが、今回はそのままの状態で撮影が進行したという。「その場にいた人たちはカメラを見て『何か撮影しているのかな?』という感じで反応していました。少し違和感を覚えながら撮影していました」と現場の状況を振り返り、特異な撮影スタイルについて語った。

左からKoki,、本木雅弘

本作では、1945年の広島で起きた原爆の悲劇が物語の背景として描かれている。このテーマについて、本木雅弘は「日本の歴史に刻まれた深い傷が作品に反映されています。それを異国の作家が紡ぎ、発信した意義は非常に大きいと思います」と述べた。また、「人生において誰もが傷つくことは避けられませんが、悲しみや苦しみが希望の種となる場合もある」と、本作が伝えるメッセージを語った。

一方で、中村雅俊は「現在でも世界のどこかで戦争が続き、核の問題が依然として解決されていません。この映画を通じて、現実を見つめ直すきっかけになればと願っています」とコメントし、観客にメッセージを送った。

左からKoki,、本木雅弘

Kokiとは以前からの知り合いだという本木は「共通の知人を通じて、新年会や餅つき、パーティーなどで幼い頃から顔を合わせてきました。だからこそ、彼女を見守る気持ちはまるで自分の子どもを見るような、誇らしくもまぶしい思いがありました」とその関係性を語った。

また、Kokiの演技準備についても言及し、「初めての本読みの場で、すでに全てのセリフを覚えていたんです。それには本当に驚きました。思わず『パパスタイルなんだね!?』と言ってしまいました(笑)。お父さまも本読みの段階からセリフを完璧に入れると聞いたことがあり、その姿勢を受け継いでいるんだと感心しました」と絶賛した。

親子での努力を評価されたKoki,さんは、少し照れくさそうな笑顔を浮かべていた。

最後にKoki,は「この映画を観てくださった皆さまの心に、何か残るものがあればうれしいです」と述べ、イベントの幕を引いた。

『TOUCH/タッチ』(原題:Touch)

監督:バルタザール・コルマウクル
出演:エギル・オラフソン、Kōki,、パルミ・コルマウクル、本木雅弘、奈良橋陽子、ルース・シーン、中村雅俊 他
2024年/アイスランド、イギリス/英語、日本語、アイスランド語/字幕翻訳:稲田嵯裕里/G

日本公開:2025年1月24日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて公開
配給:パルコ ユニバーサル映画
公式サイト
© 2024 RVK Studios

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