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「第2回新潟国際アニメーション映画祭」に『劇場版 シルバニアファミリー』小中和哉監督らが登場「人形遊びから話を作るのは僕の原点」

3月15日より、第2回新潟国際アニメーション映画祭が開幕した。昨年3月の第1回映画祭より、世界で初の長編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、日本のみならず世界へも発信される映画祭。
映画祭5日目となる3月19日(火)、【世界の潮流】にて『劇場版シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』が上映され、監督の小中和哉氏、本作にはプロダクション・アドバイザーとして関わる板野一郎氏、演出を手がけた阿尾直樹氏が登壇し、トークショーを行った。MCはアニメ・特撮研究科の氷川竜介氏が務めた。

【トークショー】【世界の潮流】新潟から世界へ『劇場版シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』

登壇者:小中和哉(監督)板野一郎(プロダクションアドバイザー)阿尾直樹(演出)、MC:氷川竜介

『劇場版シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』。皆さんご存知、人形のシルバニアファミリーに命を吹き込み、驚くほどハート・ウォーミングな世界観を作り上げた。監督を務めたの「七瀬ふたたび」やウルトラマンシリーズで知られる小中和哉監督。そしてアドバイザーとして板野一郎氏がクレジットされているとあれば、特撮ファンなら「ウルトラマンの血が入っている」という氷川氏の言葉も納得だろう。

『シルバニアファミリー』映画化の企画立ち上げから関わったという小中氏は「娘がシルバニアファミリーで遊んでいたんですね。映画を始める前、映画を手にする前の一番の遊びは人形遊びだった。人形遊びからお話を作っていくのは僕の原点なんです」と意外なきっかけを吐露。

まだCGがCMやゲームでしか使われていなかった時代から、3DCGの先駆者であったのが板野氏。小中監督とは『四月怪談』の時以来の長い付き合いだという。

氷川が「人形遊び感覚というのはすごくよくこの作品に出ていて、アメリカで作るとくにゃくにゃの動きにしちゃいたくなりそうじゃないですか。でもそこはちゃんと人形です、でも人形だけど命が入ってますというところにものすごい注力している感じがするんですよね」と述べると、演出の阿尾は「顔の変形ができるようにもできるんですが、今回は逆に変形しちゃうと人形のイメージが壊れてしまうので極力変形はしない、目の表情もそうです。少ない情報量で感情表現することが大事だったので、そこはアニメーターも苦労して。表情は変わらないんだけど、どういう顔をしているのか自分で思い入れをしながらするのが人形遊びだと思うので、見る人の思い出が入る余地があった方がいいのかなと考えて作っていました」と、引き算の考え方での制作だったことを語った。

アクションやフライングの戦闘シーンなどを得意としてきた板野は「飛んでるシーンはちょっと見せてもらったくらいです。結構原作を大事にしているというかうまく最低限の動きでちゃんと動作もついてるし、結構いい感じだなと」とお墨付き。
フォトリアルな世界を目指したという本作。コマ撮りの人形でライティングして撮ったようにしたいという思いがあったという小中氏。絵コンテ段階でミニチュアを作り、3Dでやる前提で整合性が取れるように、後でモデリングできるようにしないといけないし、いろいろなアングルが見えるのを作ってそれを参考に絵コンテが描きたかったので、絵を描くよりもミニチュアを作りながらデザインしたほうが早いかなと」と異例の手法を語ってくれた。
CGのライティングにも話がおよび、「実写の場合は撮影監督がいてライティングのイメージを話して監督の仕事は大体終わり。CGの場合は実写と違って後処理でキーライトの強弱はいくらでもやれてしまう。キャラクターだけにどうライティングするかでドラマチックさが決まる、いい芝居に見えるのはライティングだなと今回すごく思った」と小中監督が話すと「どうしてもCGだとツヤツヤギラギラするんですよ。特撮だと本当の光なんですけどCGは光がないので、光に見せるのが大変なんです。洞窟の暗さ、奥が明るくてピントが見てほしいキャラクターに合っていて、手前に踊っているモブがいる。結構ライティング決まってると思います」と賛辞を送った。
小中監督と板野氏とあれば『ULTRAMAN』の話にも。小中監督が特撮にジャパニメーションの良さを持ち込みたいと板野氏に相談。ウルトラマン平成三部作の後、「僕が行った時にはCG嫌われてて、『アニメ屋がきたけど、実写と特撮とアニメ違うんだぜ』みたいな話にもなった」と過去を回想。「ULTRAMAN」の空中戦闘シーンを見ながら「2003年、4Kの空を作ったんですよ。雲はレイヤーで。レンダリングして雲とか作ってない、処理が遅すぎて。しかもウルトラマンは手を前に出して飛べとか、加速する時に空気抵抗を無くすように体にくっつけるんです。マッハを超えた時に空気の圧力で衝撃波が出るんですけどそれをくっつけたりとかしてたんです」と解説を加えてくれた。伝統的なものとの衝突もあったが「小中さんが援護射撃してくれた。ビデオコンテまではソフビでやってたんでみんなから笑われていたんですけど、これ(CGシーン)を見たらもうみんな……『これからはCGだな』って(笑)」とエピソードと共に当時を振り返った。
また、小中監督、板野氏、阿尾氏および紺吉有限会社という同じ座組で、新潟を舞台にしたオリジナル・アニメーション『烈火伝説(仮)』の制作が社長の瀧澤氏から発表された。紺吉有限会社として初の長編アニメーションとなる。紺吉有限会社は着物を染めるための藍などの染料を販売をやっていた会社。革新と継承という企業理念のもと、3DCG技術を手に、新潟から世界へ羽ばたいていく。

■国際映画祭の舞台となる新潟市とは
 19世紀、海外への窓口となる世界港をもつ新潟は、江戸を凌ぐ国際的な商業都市でした。また新潟は、多くの著名なマンガ家、アニメ・クリエーターを輩出し、2012年から10年間、「マンガとアニメを活用した街づくり構想」を実施、継続的なイベントとして「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」(来場者約5万人)、1996年から全国対象で「にいがたマンガ大賞」も実施。また、「新潟市マンガ・アニメ情報館」や蔵書1万冊を誇るマンガ図書館「新潟市マンガの家」を運営、マンガ家志望者のための家賃補助施設「トキワ荘」、そしてマンガ雑誌編集部と結んだ無料「ON LINE添削」を実施するなど、日本有数の熱烈なアニメ・マンガ都市でもあります。そして──21世紀、本映画祭に集結したエネルギーを、グローバル・アニメーションの創造へのマグマとし、新潟は世界のアニメーションの首都を目指します。

■新潟アニメーション首都宣言
新潟はアニメーションやマンガ関連に従事する人々を約3,000名以上排出している、日本有数のアニメ都市です。世界に向けてアニメーションやマンガという日本特有の文化を発信していく拠点となる新潟が、世界のアニメーション作品が交差する文化と産業のハブとして発展していくことを目指すアジア最大規模の「新潟国際アニメーション映画祭」第2回の展開にぜひともご注目ください。

【第2回新潟国際アニメーション映画祭】

英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
会期:2024年3月15日(金)~20日(水)
公式サイト:
https://niaff.net

公式X(旧Twitter):
@NIAFF_animation

公式Youtube:
httpvh://www.youtube.com/channel/UC81m7n8a8MgQGC-8MUXs7pA

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