映画

「ミッシング」ティーチイン付き上映会

ティーチイン付き上映会
日時:6月6日(木)
場所:新宿ピカデリー
登壇:石原さとみ、森優作、細川岳、𠮷田恵輔監督

「2回以上観た方は?」という質問に多くの観客が手を挙げると、石原は「精神力や体力が必要な作品なのにすごい!」と驚きの表情をみせ、周りの反響について尋ねられた石原は、レギュラー番組で共演している濱田マリが本作を鑑賞したことを明かし、「『1回目は本当に苦しくて辛かった。でももっと光や優しさが欲しくて、2日後に再び観に行った』と連絡をいただきました。同じ役者として、そのように行動してくださる方がいて本当にうれしかったです」と笑顔で語りました。

森も役者仲間から感想をもらったことを話し、「一番うれしかったのは大学生の甥っ子からの感想ですね。『マジすげえ』と言ってくれました」と微笑みました。細川は「“面白い映画”というよりも“いい映画”という感想が多いです。また、控えめに『“虎舞竜”よかったよ』という声もありました。もっと大きな声で言ってほしいですね」と劇中のあるシーンに対する反響に触れ、照れた様子を見せていました。

続いて、観客からの質問コーナーが始まり「森さんと細川さんの“すごい”エピソードは?」という質問に対して、石原は「一気にハードル上げる」と笑いながらも、「二人は一瞬にして生活感や現場の空気に溶け込むんです。それが本当に羨ましいと思っていました」と打ち明け、吉田監督が「細川くんなんて撮影部の中にいたらわからなくなるもんね」と言うと、細川は「森くんの前を通ったら(スタッフと同様に)『お疲れ様です』と言われた」と明かしました。

石原は、車中で森と二人で会話する終盤のシーンに触れ、「何度も撮影を重ねている中で、途中休憩が入ったんです。その時に森くんが『弟として1回ハグしてもらっていいですか?』と言ってくれて、それがすごくショックだったんです。『私から言うべきだったのに』と思って、自分自身が情けなく感じました」と吐露しました。そして改めて石原は「尊敬すべきアプローチをしてくれました」と感謝を伝えました。

森は「ものすごく大事なシーンだったので、生半可な熱量では挑めませんでした。毎回新鮮に演技をするテクニックはないので『なんとかしなければ』と思ったんです。自分の中の“リトル森”がそうさせました」と振り返りました。吉田監督は「周囲のスタッフが号泣していましたね。切羽詰まっているのが伝わってきてキュンとしました」と森を称えていました。

細川は“虎舞竜”のセリフを撮影したときの心境について尋ねられると、「緊張はしていませんでした。昨日改めて映画を見返して、中村倫也さんがしっかり受けてくれたおかげだと思いました」と振り返りました。「台本を読んだときは『これは問題なく言えるな』と思っていたんですが、石原さんの演技があまりにも生々しくて、想像していた言い方とは違う形で言葉が出てきました。彼女の演技に圧倒されました」と述べました。

それに対して石原は、「細川さんの“虎舞竜”の言い方によって、自分の気持ちが変化するのを感じました」と語り、「どのタイミングでそのセリフを言ってくださるかで、泣けるときと泣けないときがありました。たった一言なのに、自分にとっては大きな違いがありました」と告白しました。

本作は海外でも上映されており、「外国の方にどう伝わっているか?」という質問に対して、吉田監督は「何にどう笑っているかはわからないけれど、日本よりもクスクスしている人が多かったですね」と答えました。特に、“虎舞竜”のシーンや、圭吾が地元テレビ局のクルーに「なんで撮影しているんですか?」と詰め寄るシーンで笑いが起こっていたそうです。「笑いが収まらなくて次のシーンに響くくらいで、『もう思い出さないで!』と感じるほどでした」と、海外での反応に驚きつつも嬉しそうに話していました。

さらに「作品を観るのに迷っている人にはどう薦めたらいいか?」という質問に対し、一同が考え込む場面がありました。吉田監督は「俺の作品は『体調がいいときに観て』と毎回言われるんですよ」と冗談交じりにこぼし、石原は「でも観た後には絶対に『良かった』と思えるはずです」と応じました。森は「吉田監督の作品は、わかりづらい生きづらさを抱える人々へのまなざしがとても温かい。『ミッシング』はある事件を扱うけど、そこにとどまらず、大きな枠組みで見てもらえたら、必ず何かが心に届くと思います」と語りました。吉田監督が「ね、(劇中と)キャラが全然違うでしょ」と観客に語りかけると、森は笑顔で「今めちゃくちゃ頑張っています!」と返答し、会場を和ませました。

本作にはワークショップで選ばれた多くのキャストが参加しています。石原は物語の後半で行方不明になる女児、さくらの母親役を演じ、また、モンタージュ中に描かれる水難事故のシーンで亡くなった子供の母親役の女性と共に、打ち上げの席をともにしたエピソードを披露しました。「私たちは号泣しながら励まし合いました。2人は目の前で起きた出来事にリアクションを示していましたが、私は自分の中で妄想と闘っていました。そんな私たち3人で子供の話題で盛り上がりましたね」と石原が語ると、吉田監督は「それは素晴らしい対談だったね」と声をかけていました。

最後に、吉田は「公開から日が経ち、多くの方々に作品が広がっていますが、さらに多くの方々に観ていただきたいという思いがあります。皆さんの力を貸していただけると幸いです」と述べ、石原も「作品を観て温かい気持ちになることが重要です。体調によっては気分が落ちてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、そこから立ち上がる光も描かれています。そのことを周りの方々に伝えていただければ、きっと映画館に足を運んでいただける勇気が湧くと信じています」と述べました。

『ミッシング』0606ティーチイン
物語・・・
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま 3 ヶ月が過ぎていた。
娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。
唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。
そんな中、娘の失踪時、沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。
世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。
一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。
それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。
その先にある、光に———。
映画『ミッシング』

「ミッシング」作品情報

公開日 2024年5月17日より全国公開中
キャスト 監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ 青木崇高 森優作 小野花梨 細川岳 有田麗未 小松和重 カトウシンスケ 山本直寛 柳憂怜 美保純 中村倫也
製作 井原多美 菅井敦 小林敏之 高橋雅美 古賀奏一郎
企画:河村光庸 プロデューサー:大瀧亮 長井龍 古賀奏一郎 アソシエイトプロデューサー:行実良 小楠雄士
撮影:志田貴之 照明:疋田淳 録音:田中博信 装飾:吉村昌悟 衣装:篠塚奈美 ヘアメイク:有路涼子
配給 ワーナー・ブラザース映画
制作国 日本(2024)
上映時間 118分
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/missing/
公式 X @kokoromissing
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