映画

「ニッツ・アイランド」予告

2024年11月30日より劇場公開される、963時間をオンラインゲームの中で過ごして作り上げたドキュメンタリー映画「ニッツ・アイランド 非人間のレポート」の、予告編が公開された。

予告編は、穏やかなニッツ・アイランドの自然風景から始まり、徐々にそこがゾンビがはびこる場所であることを映し出していく。銃を持って歩き回る一匹狼の者、この世界で生き延びるために畑から野菜を盗む者、現実世界ではビーガン(完全菜食主義者)だがゲームでは人を殺すとあっけらかんと発言する者、教会のような場所で人々を救うという宗教者のような男など、さまざまなキャラクターが登場する不可思議な世界が映し出される。

予告編の後半は、ゲームに参加した人々が仮想世界にのめり込み、現実世界との境界が薄まっていく様子が見られ、人々のモラルや理性がゆがんでいく場面が続く。最後は、「狂った“島”へようこそ」の言葉で終わる。

「ニッツ・アイランド 非人間のレポート」は、オンラインの仮想世界に存在するある“島”を舞台に繰り広げられるサバイバル・ゲーム「DayZ」に、フランスの映画クルーが潜入し、インタビューを敢行して作られたドキュメンタリー。遭遇したプレイヤーやはびこるゾンビを殺さなければ生き残ることができないモラルが崩壊した世界を舞台にしたゲーム内には、カオスの世界で暴虐の限りを尽くす集団や、“誰も殺さない”を信条とするグループ、自ら牧師と名乗りプレイヤーたちに信仰を施す人物(アバター)が登場する、

ほぼ全編がVRゲームというドキュメンタリーとしてはまったく新しい手法がとられている。現実世界では不可能な殺人が許された奇妙な世界の中、クルーは自らも生き延びるためにあらゆる手段を尽くしながら、時に攻撃を受けて死に、生き返りながらアバターたちと接触を試み、インタビューを敢行。驚くべきことにアバターたちと交流を続けるうち、現実世界のプレイヤーたちの顔がアバター越しに垣間見えてくる。リアルとバーチャルの境界を問う作品となっている。山形国際ドキュメンタリー映画祭2023で審査員特別賞を受賞するなど、多くの賞を受賞している。

オンラインゲームにのめり込み、モラルや理性がゆがんだ人々 「ニッツ・アイランド」予告【作品情報】
ニッツ・アイランド 非人間のレポート
2024年11月30日(土)~シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:パンドラ