誰もが知る不朽の名作や、密かに人気を博す隠れた傑作を、東京テアトルのセレクションで贈るスペシャル・プログラム「テアトル・クラシックス ACT.4『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」が公開がスタートした。本作の公開を記念して、初日である8月2日(土)にヒューマントラストシネマ渋谷にて、SF作品に造詣の深い万物評論家の丸屋九兵衛をゲストに迎えてのトークイベントが開催された。
“創造主”デヴィッド・リンチによる伝説の超大作である4『デューン/砂の惑星』。近年、ティモシー・シャラメを主演に迎え、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によってリメイクされるなど改めて注目が集まっている。砂虫(サンドワーム)などの不気味なクリーチャー造形や登場人物の醜悪な容姿など、細部に至るリンチ・テイストは魅力的で、映画ファンのあいだでは、長年カルトムービーとして崇拝されてきた。
登場からテンション・マックスの丸屋はまず「この映画はいわゆるカルト・クラシック。この映画をこの機会に観に来た人は選ばれた勇者ではなく“選んじゃった勇者”です」とし、「子どものころ、 テレビで見て訳が分からんがこれは名作だと思った。子どもだから理解ができなかったと思っていたが、2時間17分の映画が当時はCMを除くと約1時間40分になっていたので、カットされた部分の繋がり方を考えると恐ろしくもある」と当時見た感想についても述べた。「この映画は多額の製作費に対して劇場公開後のレンタル集計費などを含めても大赤字」と厳しい売り上げについて言及。しかし「そういう映画に限ってカルト・クラシック。大衆には響かなかったけど、我々の心には刺さって抜けないよ。これがカルト・クラシックじゃなくて何がカルト・クラシックなんだ」と称賛した。
また、「準備段階で頓挫したホドロフスキーからはじまり、この映画ができ、2000年には テレビ・ドラマが、2021年にはドゥニ・ヴィルヌーヴが再度映画化。何回観ても不自然な映画で、何回やっても終わらない」と実写化の難しさに触れる。「当初粗編集で4時間ほどだった。リンチは3時間くらいにまとめようとしたが、映画会社やプロデューサーの意向で不本意ながらに2時間強に無理やりまとめられてしまったから訳が分からなくなってしまった」と説明。しかし「青銅のパンツを履いたスティングは有名でしたが、当時は全く無名だったカイル・マクラクランやブラッド・ドゥーリフ、パトリック・スチュアート、マックス・フォン・シドーなど多くの後の大スターたちをたくさん輩出した作品で、よくよく考えたらこのキャストすごかったんじゃないかなって今になると思う」と評価する。
また、デューンの内容について「土から採れるスパイスにより光よりも早く宇宙船を飛ばせるって、“なんてドラッキーな作品なんだろう”と初見の子どもの頃にも思いました。一方で、ハルコンネン伯爵は致命的な人を死に至らしめるサディスト。自由意志と安定はどちらが大切なのか」と問いかけた。最後に「デヴィッド・リンチ監督はようやく近年になってディレクターズ・カット版について言及しているが、もしそれができた時には我々はここに馳せ参じる所存でございます!」と熱く語りかけた。
ストーリー
時は10191年。宇宙は皇帝シャダム4世によって支配されていた。この時代に最も貴重な資源は、メランジと呼ばれるスパイス。このスパイスを採取できるのは、砂に覆われ巨大な虫が支配する“デューン”と呼ばれる砂漠の惑星アラキスのみ。皇帝シャッダム4世は、自分の地位を脅かしそうな“救世主”の出現を恐れており、それがアラキスに住む皇帝のいとこアトレイデス公爵の息子ポールであると判明したため、公爵の敵であるハルコネン男爵と手を組んでアトレイデス侯爵の失脚を図る。結果、公爵は死亡し、ポールと母親ジェシカは砂漠に逃れ、アラキスの原住民であるフレーメンの集団に合流、一大軍団を組織する。巨大なサンドワーム(砂虫)を操り、ポールはハルコネン男爵の軍を次々と壊滅してゆく。やがてフレーメンに伝わる“命の水”を飲んで超人化したポールは、皇帝に最後の闘いを挑む。
(原題:Dune、1984年、アメリカ、上映時間:137分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:デヴィッド・リンチ
原作:フランク・ハーバート
製作:ラファエラ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
撮影:フレディ・フランシス
編集:アントニー・ギブス
音楽:ブライアン・イーノ、TOTO
出演:カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤング、スティング
“創造主”デヴィッド・リンチによる伝説の超大作「テアトル・クラシックス ACT.4『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」は全国にて絶賛公開中。