映画

映画『遠いところ』

映画『遠いところ』は、沖縄のコザを舞台に、17歳のアオイ(花瀬琴音)が幼い息子と夫との3人暮らしをする中で、社会の過酷な現実に直面する姿を描いています。この映画は第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の[クリスタル・グローブ・コンペティション部門]に出品され、Variety誌からは「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」と激賞されました。

『遠いところ』は、6月9日(金)に沖縄で先行公開され、その後7月7日(金)から全国公開されます。先行公開の舞台となった沖縄では、那覇市、北谷町、沖縄市の上映館で6月9日と10日の両日に公開記念舞台挨拶が行われました。舞台挨拶のチケットは売り出し開始後すぐにソールドアウトとなり、沖縄市のシネマプラザハウスで行われた舞台挨拶では、主演の花瀬琴音さん、吉田妙子さん(ヒロインのおばぁ役)、そして工藤将亮監督が登壇し、満席の観客から熱い拍手と歓声で迎えられました。

花瀬琴音さんは、自身が内地出身であることから、沖縄の人々に映画を見せることが怖かったと述べながら、「でも今大きな拍手をいただいて安心しました。僕の母も育ててくれたおばぁもシングルマザーでした。ですのでこういう状況を知って、出てくる少女たちが自分のことのように感じ、この作品を作りたいと思いました。」と感謝の気持ちを表現しました。彼女はオーディションでアオイ役を手に入れた経験についても語り、「オーディションを受けたときはここまで辛いとは思っていなくて、役作りの期間を通じて責任感というか、準備期間として1カ月間沖縄に住ませていただき、アオイとしての重みを感じていきました。沖縄の言葉を覚えるのが大変で、コザのパークアベニューで公開ラジオを聞いたり、たくさんの人と話をしたりしました。」と述べました。

工藤将亮監督は、「『遠いところ』というタイトルですが、決して遠いところの話ではないと思っています。この映画を海外や東京で上映した際にも、自分のことのように受け取ってくださる方々がいました。ドイツの児童相談所の方が同じ悩みを抱えていると口にされました。劇中の言葉やエピソードは実際に聞いたものや児童相談所の職員からのエピソードを反映させています。知っているけれど知らないという状況があります。自分自身もそうだったので、こうした子どもたちに焦点を当てて、この映画を通じてご家族やパートナーと話し合っていただければと思います。」と述べました。

 

 

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