中国有数の映画配給会社である「Road Pictures（路画影視伝媒有限公司）」が、二次元コンテンツ（アニメ、コミック、ゲーム、小説）の中国での活用に特化した新会社「GuGuGuGu（英語名：Animation Valley）」を立ち上げることがわかった。中国の観客に日本のアニメーション映画を配給・マーケティングしてきた経験をいかし、2026年には5億3000万人のファンが集まり、1105億8000万元の市場規模になるとみられている二次元市場に、大規模に参入していく。
14年の設立以降、日本、アメリカ、中国の作品の大作を中国で配給してきた「Road Pictures」。「すずめの戸締まり」公開時の新海誠監督の二都市に渡る中国ツアーや、北京大学の体育館を貸し切って行われた「THE FIRST SLAM DUNK」のプレミアイベントなど、作品とアニメファンの繋がりを大切にするマーケティングを数多く行ってきた。
結果として、23年、「Road Pictures」は、「すずめの戸締まり」（興行収入8.07億元）と「THE FIRST SLAM DUNK」（興行収入6.6億元）で、日本映画の中国での興行収入記録を2度塗り替えている。これらは今年の中国における外国映画の興行収入でも第2位と第3位の記録となった。
「GuGuGuGu」では、コンテンツの配給配信、商品化、インタラクティブな体験型イベントと、IPビジネスの核心となる3つの軸を統合した、全く新しいビジネスモデルを構築。自社のグッズショップやコラボカフェ、テーマパークといった、これまで各社がバラバラで展開してきたそれぞれの事業をネットワーク化し、オンラインとオフラインの両方のチャネルで同時展開。「GuGuGuGu」」は、最初の事業として、年内に上海で“すずめの戸締まり展”を開催予定。この展覧会は、中国で高まった新海誠監督作品の人気をより高めていき、作品の認知にも繋げる。また、24年末までに「GuGuGuGu」は、中国全土で8つのグッズ販売店を開店する予定だ。
「Road Pictures」のCEOであり、「GuGuGuGu」の社長でもある蔡公明氏は「私達が目指すのはハイクオリティな二次元コンテンツやグッズ、サービスを提供するだけではありません。ファンを支えられ、ファンに繋がりを感じてもらえ、クリエイティブな夢を実現できるような『家』を、ファンと共に創り上げることが私たちのビジョンです」と語っている。 そして「Road Pictures」の会長であり、「GuGuGuGu」の共同設立者である曹佳氏はこう付け加えている。
「新会社では、ひとつの統合されたエコシステムの中で、中国の二次元ファンのすべてのニーズを満たすことのできる、彼らの行きつけの場所になるプレミアムなエンターテインメント・ブランドを構築していきます」
「GuGuGuGu」の事業は版権運用、配給、マーケティングという「Road Pictures」の中核的な事業とのシナジー効果も大きい。 「Road Pictures」は新会社について「これはこれまでで最も野心的な試みであり、多額の投資を行い、エンターテインメント、マーケティング、小売の専門家による献身的なチームを組織、動員している」と説明している。
